海外の転職事情って?日本もアメリカのように転職が当たり前になる時代が来る?

これまでの日本には会社が社員を定年まで守ってくれる終身雇用制度があり、新卒で勤めた会社で定年まで迎えるというのが一般的でした。

しかし、バブル崩壊とともに、終身雇用制度が維持できなくなり、日本でも転職が当たり前になりました。

そこで、転職エージェントを努める筆者が、アメリカや他の国々の転職事情と比較しながら今後日本の転職市場はどうなっていくのかを解説します。

アメリカは転職天国!日本とアメリカの就職に対する考え方が全然違う

日本の終身雇用と対極の位置付けで語られるのはご存知の通りアメリカです。

実際、アメリカのビジネスパーソンは4年に一度転職し、平均的に10社~11社程度を経験するそうです。

その背景として、アメリカと日本では就職に対する感覚が全く違うことに起因します。

ではどう違うのかをお伝えします。

アメリカの場合

アメリカの採用方法はJOB制、すなわち職務(ジョブ)の範囲をきっちり決めて、それを遂行できる人を募集する方法を採用しています。

例えば、営業職の場合だと「〇〇という製品を販売し、同社の売り上げ目標の100%を達成する」といった内容ジョブディスクリプション(日本で言う求人票)が出され、その与えられた仕事を完遂させることがミッションになります。

そしてそれ以外のことはしなくていいです。(お茶汲み、会社フロアの掃除、上司からの印刷の依頼など)

そして、ミッションが完了したら、もしくはそのプロジェクトが終了したら転職していくということになりますので、仕事の仕方が日本の派遣契約や契約社員のようなイメージです。

また、給与の支払い方についても日本の会社と異なります。というのは、アメリカの場合は給与を年俸制で支払います。

成果を出した際にインセンティブでプラスα支払われることがありますが、基本的に1年間で支払われる給与はブレないというのも特徴と言えます。

日本の場合

日本の場合、新卒採用は原則総合職という形で採用をします。

アメリカの場合は上述の通りJOB制を採用しているので営業やマーケティングなどの特定の能力に秀でている必要があります。そのためには、スペシャリスト(専門家)としてのキャリアを作らなければなりません。

対して、日本の場合は総合職としてジョブローテーションを組まれ、色んな職場を経験させてゼネラリスト、すなわちある程度なんでもできる人を育成していくことになります。

その中で、会社にいろんな形で貢献していくようなゼネラリスト人材が将来の役員候補、スペシャリストが将来の部長候補、もしくは特定の職種における職人人材に分類されていくようになります。

そのため、アメリカは基本的に自分でキャリアを作っていくのに対して、日本は会社に自分のキャリア形成を助けてもらいながら成長していくというイメージです。

また、給与の支払われ方も、月給は決まっていますけど、賞与は利益の分配という形になるので、アメリカと異なり1年間の年収が明確に計算できません。(支払い目安はあります)

会社の利益状況が良好で、会社の屋台骨がしっかりしてれば多くの賞与を貰え安心して働けます。逆に会社の利益が少なければ、賞与も少なくなるため会社と一蓮托生(いちれんたくしょう)になるというような働き方と言えます。

アメリカ以外の外国の転職事情は?

日本とアメリカは非常に対照的なのはご理解いただけたと思いますので、他の外国の転職事情にも触れていきたいと思います。

ドイツの場合

ドイツでは日本以上に転職は多くありません。というのもドイツでは早々と自分がどういう職業選択をするのか決めないといけないからです。

具体的にドイツでは10歳になると、大学進学をめざすか、職業訓練校にいくか、職業訓練をしながら大学を目指せる実技学科にいくのかを決めるという選択を迫られます。

10歳から進路がガチガチに決められて、転職市場も活性化していない状態なので本当に早々と自分の道を決めていかなければいかないような社会です。

大学まで遊んでられる(文系のみですが)日本とは大きな違いですね。

イギリス

イギリスの転職事情はアメリカに近いです。イギリスのビジネスパーソンたちは入社した会社で定年を迎えるという感覚を持っていません。

3~5年で転職しながらスキルアップし、ミッションをクリアしたら次の会社に行くという感覚でビジネスパーソンはキャリア形成をしていきます。

韓国

韓国は大学受験を勝ち抜き、一部のエリートがサムスンやKGといった大手企業への就職を勝ち取るために奔走し、その競争に勝った人たちは生涯その大手企業に勤め抜くといったイメージです。(もちろん社内競争はあります)

一方その大手企業での就職戦線に勝ち残れなかった人たちは、転職をしたり、しなかったりということで中小企業に就職した人たちは転職回数が増えていくという傾向にあります。

日本人でもトヨタや三菱商事ような超一流企業に新卒入社した人はその会社に定年まで勤め続け、そうでもない企業に勤めた人は転職を何度かしていくというスタイルは日本にもみられる傾向です。

日本と韓国の転職に関する感覚は割と近いと言えます。

これからの日本の転職はどうなるのか?

結論アメリカ型になります。というか既になりつつあります。

なぜそうなのかですが以下の点が挙げられます。

日本の転職市場はJOB制に移行している

転職エージェントに行くと、紹介される求人は「営業職」や「マーケティング」などといった特定の職種の募集になっています。

言ってみればアメリカの採用方法と同じJOB制です。

冒頭でもお伝えしたように日本では少し前まで終身雇用制だったため、キャリアは会社が作ってくれるものでしたが、会社が社員を守る余裕がなくなり、個人で自力でキャリアを形成していかないといけなくなりました。

さらに働き方改革、コロナウイルスでテレワークが導入されるなど、会社が面倒を見ないでひとりで自分のミッションを果たしていかなければいけない状況となっています。

仕事やキャリアに関する考え方は完全にアメリカ化されてきていると言ってもいいでしょう。

転職エージェントの利用で人材採用が楽になった

転職エージェントの歴史は浅く、転職エージェントの利用が当たり前になったのは1999年以降です。そこから業界トップのリクルートエージェントをはじめとして色んな転職エージェントが出てきました。

転職エージェントが増えた理由としては、職業安定法の改正によって、ハローワークしかできなかった職業紹介が自由化され、民間企業でもできるようになったことが要因として挙げられます。

また、転職エージェント業ってオフィスさえあれば、あとは人件費くらいしかかからないので初期費用のかからないビジネスなんです。だから次から次へと新しいエージェントが生まれ、消えています。

また、採用活動は人事にとっては凄く面倒な仕事なんです。

元々は人材広告(転職サイト含む)かハローワークからの採用からじゃないと社員採用ができなかったのですが、実は人材広告もハローワークも企業の採用ターゲットと関係のない人からのエントリーが圧倒的に多いです。

実際、前の会社では一部転職サイトも扱っていましたが、25歳~35歳の募集に対し、40代、50代の応募が集中します。

さらに、年齢ターゲットに該当する人を見つけたところで、転職回数が多すぎる、求める能力が明らかに足りないなどの理由により大量に足切りをします。

やっと残った数人に面接調整の依頼を行っても、結局面接日程を連絡してくれない、調整できても当日ブッチでやっと会えた数人も正直イマイチみたいなことは採用あるあると言っていいでしょう。

しかも応募した人には、お見送りのメッセージを大量に送らないといけないからすごく面倒です。

でも転職エージェントは予め企業から採用要件を確認しているため、少数の書類選考でいい人に巡り合える可能性が高いし、お見送り連絡とか面倒な作業も全部やってくれるため人事の仕事を削減してくれます。

一人当たりの採用単価は高いものの、成功報酬型、すなわち人材が自社に入社してはじめてお金が発生するシステムなので無駄なお金を使わなくていいというのも採用企業側はありがたいと思われます。

このように転職エージェントの誕生により、企業が採用活動をしやすい仕組みができあがって転職が身近になったのもアメリカのように転職が積極的に行われるようになった要因と言えます。

転職エージェントのお陰で転職が楽になった

昔はどんなに嫌なことがあっても新卒で入社した会社にしがみつくのが当たり前でしたが、今は会社にしがみつかなくても、転職エージェントに行けば自分に合った求人を紹介してくれるようになりました。

しかも転職エージェントを利用することで、転職希望者にとっては転職活動にとって面倒な日程調整をしてくれる上に、給与交渉や転職のアドバイスをしてくれるし、励まして欲しい時に励ましてくれるのでスムーズに楽な転職ができます。

転職者側が楽に転職できるようになったことで転職を希望する人は常に一定数いるような状況になっていると言えます。

転職回数というハードルが徐々に下がっている

筆者は転職エージェントとして7年ほどのキャリアがありますが、7年前と今では転職に関するハードルは下がっているような感触を得ています。

特に転職回数について以前より多めにみるようになり、一昔前は30歳3社経験は転職回数が多いとか言っていた企業も、柔軟な姿勢を見せて採用をするようになったので、筆者は以前より転職は楽にできるようになったと認識しています。

この状況からも転職という文化は徐々に日本に根付いていると言えます。

日本での転職に関する基礎知識については、以下の記事も参考にしてください。

転職活動を始めたいけどどうしたらいい?転職に関する基礎知識

まとめ

  • アメリカと日本の就職・転職観は全然違う
  • 諸外国も色んな就職・転職観がある
  • 日本の転職観はアメリカに近づいている
  • 転職エージェントの存在は転職観のアメリカ化に一役買っている

1社でしか経験していない人と複数社経験している人では正直後者の方が仕事の能力が高いし、順応する力が高いと感じています。

とはいえ、日本は一人の主君に仕(つか)え続ける、一つのことを継続することを美徳とするため転職に対する考え方は完全にアメリカ化はしないでしょうが、確実にアメリカのように転職してスキルアップしていく働き方が一般化してきています。

同時に仕事のできる人とできない人がはっきりし、仕事のできる人には転職しようがしまいが仕事が回ってくる、仕事のできない人は転職できないし、会社からも守ってもらえないという悲惨な状況となるでしょう。

転職市場がアメリカ化することに危機感を持ち、いつでも転職できるだけの実力を備えておきたいところです。

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ABOUTこの記事をかいた人

関西学院大学卒業、1社目では大手証券会社に勤務  ・8か月でメンタルをやられ休職。 ・証券会社時代はお荷物社員として最低評価を受ける。「こんなひどい評価の奴初めて見た」とまで言われた。 以降、人材ベンチャー、大手転職エージェントに勤務し、2度の戦力外通告を受ける。 現職では、中小の転職エージェントでキャリアアドバイザー兼法人営業で2年連続で社内2位の売り上げを達成。前職退職時の年収450万円→2019年の年収は約1000万円 税金の支払いに苦労してます笑 【人物像】 ・ただの酒好き ・論理・理屈で物を考える 【記事の基本方針】 私のような最強のダメ人間でも、思考力、実力、環境を整備すれば それ相応の成果を出せるということを表現できればいいと思っています。 よろしくお願いします。