入社3年目で、来年には転職しようと考えている人は多いのではないでしょうか。実際、筆者は5割くらいの入社4年目の社員が転職をしているといったデータを見たことがあります。
ところが、いざ入社4年目を迎えて転職しようと考えている人でも、本当に会社を辞めていいのか、転職をしていいのかという不安を感じてしまうものです。
実際、入社4年目で転職したほうがいい人と今転職をしてはいけない人がいます。
そこで、証券会社から転職エージェントに転職し、3回の転職経験がある筆者が入社3~4年目で転職をしようか悩んでいる方へ、転職をする前に確認しておきたい5つのポイントについてお伝えします。
なぜ入社4年目に転職を考える人が多いのか

まずは、なぜ入社4年目に転職を考える人が多いのかということについて触れていきますね。
3年という区切りがいい
「石の上にも3年」という言葉があるように、入社したら3年間は転職せず同じ会社で3年働きなさいという教育を上司、人事などから受けます。
この3年という期間を脱した4年目は、精神的に転職しやすくなるタイミングなのです。
給与UPさせたい
3年間働くと、仕事のスキルが上がります。その一方、給与が上がらない人にとっては、「自分は仕事できるのにどうして会社は給料を上げてくれないんだ!」といった怒りの感情を持つ人も出てきます。
ちなみに筆者もそんなことを思って転職活動をしていました。あの頃を振り返ってみればとんでもない勘違いをしていたと恥ずかしくなります。
労働環境の改善
3年働くと、それ相応に責任のある仕事を任されるようになり、業務量が増えてきます。そのプレッシャーや業務に押しつぶされそうになり転職をするという人も多いです。
ちなみに、筆者は全く逆で、もっと責任のある仕事を任せてほしいと思い転職活動をするようになりました。筆者のように、もっと仕事をしたいという理由で転職活動をする方も見かけます。
新しいことへのチャレンジ願望
3年同じ仕事をすると飽きて新しい仕事をしたくなる傾向があります。これは20代の方に限らず、30代、40代でも新しいことにチャレンジしたいので転職したいという人を見かけます。
当時、筆者は証券関連の事務仕事をしていましたが、めちゃくちゃ暇でつまらないので早く転職してこの仕事辞めたいと思っていました。
人間関係の改善
パワハラ上司に嫌気がさした、社内の雰囲気が悪いなど人間関係に不満をもって辞める人はどの世代でも多くいます。
人間関係は入社した時からあるのでしょうが、入社4年目となると、会社を辞めるタイミングとしては非常に良いので、これを機に転職活動を始める人は一定数います。
転職を躊躇する理由は何?

入社4年目に転職活動を積極的に行いながらも、どこか躊躇しまう方が多いのも事実です。なぜなら、転職をするのには以下のような不安が出てくるからです。
給料が下がる不安
転職をしたら年収が上がるということが言われますが、必ずしも給料は上がるわけではありません。
筆者の場合、上場している大手の金融系企業にいたため、他の業界に行くとなればほぼ例外なく給料が下がりました。それも100万円~200万円ほど。
このように転職で年収が下がるケースというのもあり、それを不安に転職を躊躇するということは珍しいことではありません。
世間体が悪い
特に大企業で働いている方は悩まれると思いますが、転職すると大半の人は今いる会社より規模の小さい会社に転職することになります。
有名企業から良く分からない会社に転職するというのは世間体的にあまり良くないですよね。
筆者も世間体をとても気にしました。最終的には大手証券会社から社員数20人のベンチャーに転職することになるのですが、会社のビッグネームを手放すのに5年かかりました。(転職としては大失敗でしたが後悔はないです)
加えて、終身雇用の考え方が定着している親や親せきから、3年で会社を辞めるのは世間体が悪いと反対されるケースもあります。
転職しても興味のある仕事に就けるか不安
今の会社で働き続けたいと思わないけど、特に転職して何かやりたいことがあるわけではないし、転職した先で自分のやりたい仕事ができなくてまた転職してしまうんじゃないか、という懸念を持つ人もいます。
会社の仲間と人間関係ができている
会社内の人間関係が出来上がっていると、転職はしたいけどこの人たちと離れたくない、この人たちに迷惑をかけたくないという思いで、転職を躊躇してしまうというケースもあります。
非常にその気持ち分かります。心情的に仲間を大事にしたいですよね。筆者もこれが理由で前の会社を辞めるのに少し躊躇しました。(最終的にはマネージャーと揉めて気持ちよく転職ができましたが 笑)
転職をする前に確認したい5つのこと

筆者の感覚だと、入社4年目で1社経験の方だったら転職先には苦労しないでしょう。特に同業他社への転職であれば、あっさり決まるかもしれません。転職市場において入社4年目・1社経験というのはそれだけ採用ニーズは高いです。
ただし、冒頭でお伝えしたように、転職していい人と転職してはいけない人がいます。筆者も社会人4年目に転職活動をしていましたが、私自身は転職をしてはいけない人でした。
では、筆者が考える転職していい人とそうじゃない人との大きな違いは何かというと以下の5点が備わっているか。
転職することで不満が改善をされるのか
転職というのは働き方を改善するための手段だと私は思っています。
労働時間に不満があるのならば、転職することで労働時間が改善されるという客観的な根拠が必要だと思いますし、転職して年収を上げたいのであれば目先の年収が上がること、今後の給与が上がる可能性があるのか、という客観的な情報を取得しておく必要があります。
実際、転職相談を受ける中で、転職したらさらに労働条件がひどい会社に入ってしまった、転職したら給料が上がったけどすぐ下げられてしまったから再度転職を考えているという20代の方にお会いすることもありました。
安易な転職にならないようにするため、自分の不満は何なのか、転職先はその不満を解消してくれる会社なのかということは可能な限り調べましょう。
ただの逃げの転職になっていないか
入社4年目というタイミングは、1年目2年目よりはるかに高い責任を問われます。そのため、逃げ出したい、もっと楽に働きたいと思うかもしれませんが、結局転職先でも同じような責任を問われます。
転職業界の人間は新卒から在籍している社員のことをプロパー社員という言い方をするのですが、プロパー社員には優しいけど転職組には厳しい会社はごまんとあるので、転職した方がかえって厳しい状況になります。
過度の残業・サービス残業を強いる、パワハラがひどいなどという状況は転職で改善しても良いでしょう。でも仕事の厳しさ、責任が重くなったからそれを回避する転職というのははっきりいって無意味です。
仕事そのものが嫌でないなら、転職をせずにその厳しい状況で結果を出せる人材になることをおすすめします。
やりたいことが明確か
今の仕事に飽きた、仕事が面白くないから転職するというのは悪いことではありません。つまらない仕事をだらだらやり続けるというのは時間の浪費です。
ただし、転職するなら何がやりたいのかということははっきりさせましょう。そして、そのやりたいことが転職で実現できるのかを知っておきましょう。
特に転職でやりたいことが実現できるのかどうかは重要です。
というのも、筆者は転職エージェントとして、ビズリーチ等で人材のスカウトをしますが、営業しか経験していない人が希望職種で「人事」、「マーケティング」、「コンサル」など今まで経験していない職種を書いているのをよく目にします。
絶対無理!とまでは言いませんが、成功確率はかなり低いです。実際、筆者も未経験人事の面接を結構受けました。でも、人気が集中するため、面接で良い評価を受けても相対評価で落とされました。
転職にはセオリーがあります。人事をやりたいのであれば、我々のような人材業を経て企業人事になるというパターンが一般的ですし、マーケティングのような花形職種の仕事をしたいのなら、あえて転職をせずに営業で結果を出し、社内公募などの制度を使うというのが一番の近道です。
中途採用では、原則即戦力を採用します。純粋な即戦力を採用しない求人でも、ズブの素人を採用してくれるような案件はわずかなのでその現実はしっかりうけとめましょう。
活躍ができるだけのスキルがあるのか
給料を上げたいという人は、それ相応のスキルがあり、転職先で活躍できるという客観的な根拠を示せるかどうかが大事です。
当たり前の話ですが、会社は製品やサービスを販売し、そこから得られた利益を配分しているのが給料です。その分、営業であれば欲しい給料をもらうだけ自社の製品やサービスを売ってこないといけないわけですし、営業職以外であればそれだけ高い給料をもらえるだけの貢献をしないといけません。
そういったことが実現できる根拠もないのに年収を上げたいから転職をしますというのはおかしいですよね。
実際、20代で年収が上がらない転職はしません、でも今の業界で働きたくないですということを平気で言ってくる人がいます。そういう人に対し、私は「世間知らず」と心の中でつぶやきますし、場合によってはそのまま伝えます。
会社から高いお金を出しても採用したいと思わせるにはどうすればいいのか、客観的に考えてもらうと良いです。
スキルがないのならば年収を下げて這いつくばっても転職先で頑張れる自信があるか
個人的には、別業界で働きたいと思うのならば、年収を下げてもチャレンジしたいですという意欲が必要だと思います。
筆者は人材業界に転職した時、年収100万円以上を下げましたが、2社目の会社の役員から「お前はスキルが低い割に年収が高い」と言われました。
いくら年収を下げて妥協して入社したとしても、給料相応の価値を実現できていないなら会社からは不良債権としか見られません。その後、筆者はその会社を辞めるように諭され、8か月で退職を余儀なくされました。
その後も色々厳しい経験をして、やっとここ数年で1年目の会社の給料を大幅に超えるようになりましたが、別業界に転職するということは地面を這いつくばって努力し、それでも頑張れるかということに尽きると筆者は思っています。
新卒組は、仕事ができなくても割と会社から守ってもらえます。しかし、転職組の大半はその会社から守ってもらえず、成果を出さなければクビになることだって珍しくはありません。(実際筆者は経験しています)
20代というのは他業界・他職種への挑戦が許される世代ですが、他業界・他職種への転職は甘いものじゃないです。不退転の覚悟をもって挑戦し、どんなことがあってもその業界で頑張り続けるかという気概が大事なのです。
また下記の記事も参考になりますので併せて参照ください。
転職エージェントを利用して転職活動をしよう

転職をしていい・してはいけないを判断する5つのポイントで書かれている内容というのはとても「客観性」が必要なことです。
不満を解消できるか、活躍できるかどうか、やりたいことで転職ができるかといったことは客観的に判断するための情報が必要ですし、できる・できないを客観的に評価してくれる人が必要です。
それができるのは、転職エージェントです。
転職エージェントにはいいキャリアアドバイザーもいますし、自分のことしか考えていないどうしようもないキャリアアドバイザーもいますが、良いキャリアアドバイザーを見つけ相談したうえで転職する・しないを決めると良いです。
まとめ
- 入社4年目は最も転職を考える年代で転職もしやすい
- 転職を躊躇する理由もそれなりにある
- 入社4年目での転職は不満が改善され、やりたい・できる仕事を選ぶ
- 未経験の仕事への転職は、年収を下げてでも頑張れる仕事なのかを考える
- 転職エージェントを活用しよう
良い転職には客観的評価と意思決定が必要です。でもその前に、まずは落ち着いて自分のことを振り返ってみてはいかがでしょうか。
コメントを残す