生活残業という言葉をご存じでしょうか。想像の通り、生活のために残業して残業代を稼ぐことを指す言葉ですが、中にはかなりの長時間残業をして残業代を稼いでいる人もいます。
結果、残業時間が月間120時間を超えるというケースもあると思います。
筆者は80時間~100時間の残業時間を4~5年経験しています。確かに100時間の残業はしんどいのですが、まだなんとかやり遂げることができました。
しかし、120時間の残業は残業体制の強い筆者でも想像を絶する行為です。では、120時間の過重残業をして残業代を稼ぐ行為がいかに恐ろしいのか現役転職エージェント勤務でブラック企業を渡り歩いた筆者が解説をいたします。
目次
そもそも残業時間120時間は法律的にOKなのか

まずは、120時間という残業時間が法律上OKなのかという点からお話しています。
結論から言えば120時間は違法労働です。120時間残業させる会社は行政から処罰の対象となります。
厳密に言えば、2018年の3月までは120時間の残業をさせていたとしても残業代が支払われ、労使間の合意があれば問題がありませんでした。
しかし、2018年4月からは働き方改革が施行され以下のように残業時間の上限が設定されました。
- 基本的には残業は月間45時間以内に留める
- 残業時間の上限(年間)は360時間
- 1か月の最大残業時間は100時間、ただし2か月以上はさせてはならない)
- 月間80時間の残業は6か月まで(ただし年間残業時間の上限が360時間なので実際は4か月までしかできない)
※尚、この「残業」には休日出勤が含まれています。
つまり、繁忙期の場合限定的に80時間~100時間の残業を認めるものの、基本は月間30時間~45時間以内に留めないとダメで、45時間残業を12時間させた場合は年間360時間以内に収まらないので、残業が少ない月がないといけません。
少しまどろっこしい説明になってしまいましたが、間違いなく言えることは120時間の残業は明らかな違法であり、コンスタントに残業させるのなら月間30時間、1日平均1.5時間までに収めないといけないということになるのです。
働き方改革については以下の記事でも書いていますのでご確認ください。
働き方改革で何が変わった?転職エージェントが語る残業の今と昔
残業代、生活がおかしくなる!?120時間残業が恐ろしい5つの理由

120時間も残業すると、あらゆる面で恐ろしいことがたくさんあります。まずは120時間残業が恐ろしい理由についてご紹介いたします。
体調に異常をきたす
120時間残業をしているということは、法定労働時間が1日8時間なので14時間会社で働いているということになり、就業時間が9時-18時だと仮定すると深夜12時まで残業しているケースになります。
通勤時間を1時間と仮定し、入浴等々を済ませたらどんなに短く見積もっても就寝するのは2時~3時で、起床時間を7時と仮定するなら4時間程度しか寝れなくなるような生活になってしまいます。
厚生労働省は、過労死基準を月間80時間という目安を敷いていて毎月80時間の残業を半年繰り返すと過労死をする可能性があると示唆しています。
また、睡眠時間が短縮されると、心筋梗塞、生活習慣病のリスクがあり、免疫力が下がるという研究結果も出ています。
基本的に睡眠時間は、色んな研究結果がありますが6~8時間は取るべきだという説が多く、120時間も残業をしていたら生活習慣病などあらゆる病気にかかりやすくなり、場合によっては過労死を導く結果にも繋がるのです。
お金や仕事のために健康を犠牲にする生活は、結果として自身が働ける期間を短縮してしまい、健康面でも病院や投薬でお金を多く支払わなければならなくなります。
美容に悪い
男性の方の一部で、自分は女性じゃないから美容面にはそんなに気を使わなくてもいいよ!と思う方がいるかもしれません。
しかし、美容面が充実していると、恋愛面はもちろんのこと、見た目で社会的な評価も変わります。転職面接や銀行の融資でも借主の見た目をチェックしているというアンケート結果もあるくらい見た目というのは非常に大事です。
しかし、長時間労働をすることで食生活が荒れ、睡眠時間が減るため確実に美容面での劣化を顕著にさせてしまいます。
経験上、長時間労働がたたると食事をコンビニ弁当や帰宅途中のラーメン屋で済ませ、短い睡眠時間で出社するような生活をすることで、必要な栄養も食べたものの消化時間も取れず睡眠につくことになります。
ただでさえ、睡眠時間が少ないと肥満のリスクがあるという研究結果があるのに、美容に有効なビタミンやたんぱく質を取らない生活をしてしまうため、度の超えた長時間労働は見た目を悪化させてしまいます。
美容面を見ても、120時間も残業することは得策ではありません。
ストレスが溜まる
筆者の経験上、長時間労働をすると非常にストレスが溜まります。
実際、筆者は毎日8~9時出社22時退社の生活をしていた時、会社から解放された、ストレス発散したいという欲が強くなり、とにかくお酒を飲みに行くような生活をしていました。
裏を返せば、飲んで楽しまないと自分の精神が持たなくなってしまうという状況だったのかもしれません。
結果、飲み代が大変なことになり、生活に支障が出るレベルになりました。
今は残業もあまりしないですし、そもそも在宅勤務なのでストレスも減り、飲みに行く回数も月間数回程度にまで落ち着きました。(ストレスを差し引いてもただのお酒好きなので)
120時間も残業したら相当なストレスになります。ストレスは健康にも美容にも良くないうえ、お酒が好きな人は酒の量も増えますのでかなり精神衛生上に良くないです。
転職しにくい
残業代が多いと、その分年収が上がりますが、仮に転職をして残業を減らすと年収が大幅ダウンになる可能性があります。
年収400万円(賞与3ヶ月)と仮定すると、月収26万6600円で、これを時給換算すると1600円になり、4時間の残業、2時間の深夜残業を上乗せすると、残業代だけで以下の金額を計上することになります。
- 1600円×4(時間)×1.25(法定残業代)=8000円
- 1600円×2(時間)×1.50(深夜残業代)=4800円
- (8000円+4800円)×20(日)×12か月=307万2000円
つまり、残業120時間をしていた場合、残業代で年収並みに稼いでしまうということです。そこから、転職をすると相当年収が下がることになります。
年収が下がった年の税金の支払いはかなり大変です。新型コロナウイルスの影響で年収が350万下がってしまい、筆者はこの記事を書きながらも3倍に増えた税金の支払いと戦っています笑
働き方改革で残業がかなり縮小される可能性がある
上述でお伝えしたように、2018年から政府主導で働き方改革が実施され、企業に残業を規制するような動きが出ています。
そうなると、会社側から残業が規制されるようになりますし、ひどい会社だと残業時間は変わらないものの、サービス残業が増える可能性だってあります。
結果、転職しなくても残業できなくなって残業代が減らされる、ただサービス残業の時間と疲労だけが増えるという可能性が高いです。実際筆者が面談をした転職希望者で、サービス残業の時間が増えたという人に何名かお会いしています。
残業代で年収を稼いでいるということは、転職をしなくても、大幅に年収ダウンになってしまう可能性があるということなのです。
残業しなくても年収を上げる方法については、以下の記事で書かせていただいていますのでこちらもチェックしてみてください。
まとめ
以上、まとめます
- 120時間の残業は違法で、使用者が行政指導を受ける
- 120時間残業すると健康面、美容面で良くないし、ストレスもたまる
- 残業で年収をかさ上げしていると後々危険
120時間という残業はもはや違法だと明確にルール決めされていますし、120時間残業をすることで健康面に不安を与えるうえ、残業代が上がるため年収面で依存しやすいため非常に危険であると言えます。
120時間残業をしている人は、早めに労働時間を見直していただき、働き方や労働環境を修正させていただきたいと思います。
コメントを残す