仕事をする上で、残業は切っても切れないものと言えるかもしれません。
しかし、残業をするにも限度がありますよね。かつて筆者も月間90時間以上の残業を経験し、辛かった記憶があります。
では、残業を毎日したらどうなるのか、また、残業に関する日本の法律はどうなっているのかを転職エージェントで働く筆者が、自身の経験を交えながら説明します。
残業を毎日2時間したらどうなる?

まずは都内在住の男性(未婚)が毎日残業を2時間した場合どうなるのかをシミュレーションします。
残業2時間の生活シミュレーション
勤務時間が9時-18時の場合、おおよそ以下のようなスケジュールが想定されます。
- 退勤:20時
- 帰宅:21時
- 食事・入浴完了:22時
- リラックスタイム:24時終了
- 就寝:24時
- 起床:7時
わずか2時間ですが、リラックスタイムが確保でき、7時間の睡眠時間が確保できるようなタイムスケジュールなので、楽ではありませんが、そこまで苦になる残業時間とまでは言えないでしょう。
ただ、帰宅時間などを考えると、平日にジムに通ったり、ランニングにいったりと運動をするには厳しいかもしれませんね。
法律上、毎日2時間の残業は問題ない
前提として、法律では1日8時間、1週間で40時間を超える労働時間については認められていません。
ただし、労働基準法36条(通称36協定)では、労使間の合意があれば1カ月45時間までの残業までは認められています。
労使間の合意が必要ですが、法律上でも問題のない残業時間です。
残業を毎日3時間したらどうなる?

次に、都内在住の男性(未婚)が毎日残業を3時間した場合どうなるのかをシミュレーションします。
残業3時間の生活シミュレーション
就業時間を9時-18時でシミュレーションをすると以下のようなタイムテーブルが想定されます。
- 退勤:21時
- 帰宅:22時
- 食事・入浴完了:23時
- リラックスタイム終了:24時半
- 就寝:24時30分
- 起床:7時
日々の残業時間が1時間延びるだけで、睡眠時間は減りますし、帰宅後の生活に余裕がなくなります。
このシミュレーションは未婚男性なのでまだマシですが、既婚者は家族に負担をかけますし、女性であれば化粧等の時間があるので、さらに睡眠時間は少なくなります。
筆者は毎日3時間以上の残業をする生活を4年程度経験しました。出来なくはないですが、プライベートの時間がほとんどないですし、1週間勤務するとかなり疲れがたまります。
残業時間を毎日3時間というのは一般的な労働者の限界でしょう。
現行の法律上でも毎日3時間の残業は違法になりうる
上述の通り、労働基準法36条(36協定)では、月間45時間までの残業しか認められていません。
ただし、月間45時間以上の残業をさせる場合は、別途労使間の合意があればできます。(特別条項付き36協定といいます。)
だからといって労使間の合意があれば、会社は1年間にわたって毎日3時間の残業をさせていいわけではありません。
36協定の特別条項を適用させるためには以下の条件が必要です。
- 従業員に45時間以上の残業をさせる明確な理由がある
- 1年間のうち6回(半月)までしか36協定の特別条項を適用できない
- 会社が36協定の特別条項を適用するためには労働基準監督署に届け出が必要
一定の条件を満たしていれば、会社側が半年間3時間の残業を命じても問題はないのですが、1年間3時間の残業を命じる場合は違法行為です。
仕事に対するモチベーションが下がる
毎日3時間程度の残業をすることは、筆者の経験上健康面には大きな影響を与えないように感じますが、仕事に対するモチベーションは下がります。
月曜日に出社していきなり21時まで働くと、かなりヘトヘトになります。これをあと4日継続しないといけないと思うととげんなりします。しかも家に帰ってもゆっくりする時間がなく、すぐ寝ないと次の日の仕事に影響します。
牛馬のごとく働かされている感覚に近いかもしれません。
毎日3時間の残業はできなくはないですが、それを強いる会社はブラック企業に近いでしょう。
モチベーションの上げ方についてこちらの記事もおすすめです。
仕事のモチベーションが上がらない!!モチベーションの上げ方5選
残業を毎日4時間したらどうなる?

残業を毎日4時間した場合を、これまで同様に未婚男性、都内在住、通勤に1時間かかるという想定でしてシミュレーションします。
残業4時間生活のシミュレーション
勤務時間が9時-18時とすると、おおよそ以下のようなスケジュールが想定されます。
- 退勤:22時
- 帰宅:23時
- 食事・入浴完了:24時
- リラックスタイム終了:25時30分
- 就寝:25時30分
- 起床:7時
もうここまでいくと、人間の尊厳ある生活だとは言えないですよね。筆者はこの生活を3年していましたけど、もう2度とこの生活には戻りたくないです。
残業時間80時間は法律違反だが合法になるケースもある
上述の通り、残業時間は月間45時間まで、それ以上の残業については特別条項付き36協定で以下のように定められています。
- 月間45時間を超える残業させていいのは年6回まで
- 2~6か月平均で月間80時間を超える残業を従業員に命じてはいけない
- 例外なく年間720時間を超える残業時間を従業員に命じてはいけない
80時間という残業時間の残業が許されるのは年に6回までですが、年間の残業時間は720時間までしか許されていません。
仮に6カ月間の残業が80時間に到達した場合、残りの6カ月は残業2時間以内に抑えないといけないと労働基準法では規定されています。
裏を返せば、期間限定で月間80時間の残業、すなわち1日4時間の残業をさせることを認めています。
1日4時間、月間残業80時間は過労死ラインの残業時間
ただし、月80時間以上の残業を厚生労働省は奨励していません。
なぜなら、80時間以上の残業は、以下の病気になる可能性を高め、過労死する可能性が高いと発表しているからです。
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
- うつ病
- 睡眠障害・睡眠不足による事故
残業過多の生活をすることで、睡眠時間は間違いなく減ります。睡眠時間が少ないと生活習慣病になるリスクが上がると言われています。加えて、睡眠不足はうつ病を引き起こす可能性も上げてしまいます。
以上のことから、残業を月間80時間もさせている会社は、社員の健康管理を阻害させているため、ブラック企業と言っても過言ではありません。
精神的に荒れてきた
筆者は、前職の9時ー22時勤務時代は本当に生活がめちゃくちゃでした。
毎日22時になるまで帰れないうえ、上司から理不尽な指導を受けることも多かったため(筆者の社内の態度が悪かったこともありますが)結構社内ではイライラしていたように思います。
結果、会社から出た瞬間、お酒を飲まないとやっていられないと思い、毎日のように飲み屋に入り浸っていました。
帰宅時間も3時、4時といった常軌を逸した時間になることも増え、睡眠不足でアルコールが残った状況で出社することも結構ありました。
今考えると、精神的に荒れていたので、お酒を飲まないと精神的に壊れると思っていたのではないかと思います。
筆者の場合は少し特殊ですが、自身の経験から、毎日4時間残業すると少しずつ精神的におかしくなる人もいるのではないかと思っています。
残業を毎日5時間したらどうなる?

最後に、毎日残業5時間したらどうなるかをこれまで同様に未婚男性、都内在住、通勤に1時間かかるという想定でシミュレーションします。
残業5時間の生活シミュレーション
これまでと同様に就業時間を9時-6時と仮定します。
- 退勤:22時
- 帰宅:23時
- 食事・入浴完了:24時
- リラックスタイム:25時30分
- 就寝:25時30分
- 起床:6時
- 出社:8時
筆者の経験則だと、少し労働基準法を知っている会社は深夜残業の対象となる22時以降に働かせず、朝残業を事実上強要させる傾向があります。
そのため、夜帰る時間が遅くなるうえ、朝も早く起きなければなりません。実際、筆者は2社目に在籍した会社ではこのタイムスケジュールで働いていました。
このスケジュールははっきり言って辛いです。常に眠いし、朝早く起きるのも辛いですし、夜も遅いので疲労が貯まりやすくなります。
1日5時間残業は、心身に異常をきたす
筆者は、平均月間残業95時間、時々100時間越えの環境で8カ月就労したことはあります。(上述でも触れた2社目で働いた人材ベンチャーでのお話です。)
この環境は地獄です。筆者はメンタルが強い方だと思いますし、体力的にも平均以上だとおもいますが、それでも入社5カ月くらいから過呼吸気味になり精神的におかしくなりました。
変な言い方かもしれませんが、筆者がこのように精神的におかしくおかしくなるのであれば、多くの人は100時間の残業で心身共におかしくなることが容易に想像できます。
自身の経験から、100時間残業が常態化する会社では働いてはいけないと感じました。
1日5時間、月間100時間の残業は、法律上は年に1回だけできる
労使間の合意が前提ですが、休日労働を含み、単月で100 時間までの労働は認められています。裏を返せば、会社が2か月以上100時間の残業をさせることは違法です。
また、会社が従業員に100時間の残業をさせる場合は、以下のルールを同時に守らないといけません。
- 年間残業時間が720時間を超えない
- 45時間以上80時間未満の残業は5回まで
そもそも単月でも残業が100時間を超えることは非常事態があった場合を除いてあってはならないことです。自分を守るためにも労働基準法の残業ルールは知っておきましょう。
まとめ
以上、まとめます。
- 1日2時間残業は労使間の合意が前提だが、法的にはOK、労働者にも多少の負担は強いるがブラック企業とは言えない
- 1日3時間の残業は、条件付きで合法、労働者がギリギリ残業をして耐えられるレベル
- 1日4時間の残業は、条件つきで合法、ただし1日4時間の残業を常態化させる会社はブラック企業と認定していいレベル
- 1日5時間の残業は、1年に1か月だけ合法、常態化させる会社は間違いなくブラックなので入社すべきではない
仕事を覚えるために、自らで会社に残り、努力をする期間はあって然るべきですが、月80時間や100時間の残業を強いる会社はブラック企業です。そういう会社から早々に転職をしましょう。
マイナビエージェントをはじめ、大手の優良な転職エージェントを利用すれば、ブラック企業を紹介される可能性は低く、働き方を改善することができます。
ブラック企業で働き続けることは短期的には仕事を覚えることができるものの、長期的に働くことは自身の心身の健康を阻害する可能性が高いです。
本編を参考にして、自分自身を守るような働き方をしてください。
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