残業でうつになったら労災が下りるの?仕事に起因するうつに関する基礎知識

長時間労働やパワハラでうつになった結果自殺してしまったという悲しい事件がニュースやワイドショーなどで報道されることがあります。

また、仕事が原因でうつになってしまったということは珍しいことではありません。かつて筆者も入社して1年目に仕事で軽度のうつになり、7か月程度の休職を経験しました。

では、残業が原因でうつになった場合、労災が下りるのかなど、長時間労働とうつに関する制度や現状に関して現役で転職エージェントに勤務する筆者が解説をします。

労災の基礎知識

まずは労災とは何なのかを解説します。

労災とは何??

労災(労働災害)は、業務を理由にケガや疾病補償する制度です。

例えば、倉庫作業をしている際に、荷物を足に落としてしまい骨折した、会社の階段で躓いた、営業活動中に交通事故にあってけがをしたという場合は労災認定されます。

また、業務と言うのは、「実際の業務」に加え「通勤」も含まれます。

通勤・退勤中に交通事故に遭ったり、駅の階段で転んでけがをしたりした場合も労災と認定することができます。

労災の原資は?

労災保険に関しては、会社が社会保険の一環として支払っており、実際に労災になった場合は、国からその費用が支払われます。

厚生年金や雇用保険のように、給与から源泉徴収して引かれているものではありません。

労災を受けるためにすべきこと

労災を受けるためには、会社に依頼して申請をしてもらうか、会社が申請してくれない場合は、自分で労働基準監督署に行って行わなければなりません。

後続で説明しますが、会社がすんなり労災申請を行ってくれれば良いのですが、労災申請を行ってくれない場合もあるので、その際は自ら労働基準監督署に赴き、申請書類の作成・申請を行う必要があります。

労災が認定されない場合

ただし、以下の場合だと労災が認定されません。

  • 社内で業務と関係していない理由でけがや病気になった
  • 業務中社外で業務と関係ない理由でけがや病気になった
  • 業務中以外で会社の管理下にない場合
  • 通常の通勤経路を逸脱して事故に遭遇した場合

つまり、以下のような場合だと、労災が認定されないということです。

  • 会社の昼休みに食事に行った帰りに事故に遭遇した
  • 営業中に歩行者と肩がぶつかってケンカした結果骨折した
  • 会社帰りにお酒を飲んで、酔っ払って川に転落してけがした、風邪を引いた

あくまでも仕事、会社の設備が原因だったり、会社からの往復で寄り道をしなかったのにもかかわらずケガや病気になったり場合に労災が認められるということです。

ただし、例外として、帰宅中に夕食の材料を購入した、病院に立ち寄るお子さんの迎えにいったという日常的な生活に関わることを行うために通勤経路を逸脱した場合は労災認定されます。

長時間残業に起因するうつは労災が認められるのか?

結論からお伝えすると、長時間残業に起因するうつは労災が認められる可能性があります。また、長時間残業以外にも、パワハラやモラハラ、その他のストレスでうつになった場合も同様と考えてください。

上記でもお伝えしたように、労災は業務上に起因するケガや病気が認められた場合労災認定がなされ、長時間残業がうつの原因になったという因果関係が認められたら労災が下りることになります。

一方で、簡単に労災認定が下りるかというとそうでもありません。

その理由を解説します。

うつと残業時間の長さの因果関係が証明できるか

上記でもお伝えしたように、社内で業務と関係していない理由でけがや病気になった場合は労災認定されません。

つまり、今罹患(りかん)しているうつが、労働時間が長かったから、残業が多いからかかったのだと明確に証明する必要があるということです。

パワハラやセクハラでうつになった場合でもそうなのですが、業務上パワハラやセクハラが原因でうつになったと証明できたら労災認定が下りますが、そこまでの因果関係が認められるまでが難しいのです。

厚生労働省では、労災だと認めるための基準を以下のように示しています。

  • 認定基準の対象となる精神障害を起こしている
  • 6か月間業務による強い心理的負荷が認められる
  • 業務外の心理的負荷や個々の事情による要因が認められない

長時間労働・残業が続いてうつになったからといって即日労災が認定されるわけではないことを認識してください。

客観的な証拠の準備に時間がかかる

自分が長時間残業をしたからうつになったという場合、それを客観的に証明する証拠を集めないといけません。

基本的に労災認定をするかどうかについては労働基準監督署がその職権に基づき調査をします。

そのため、裁判のような証拠や資料を1つ1つ集めることまではしなくていいものの、労働基準監督署の調査に協力するなど一定の労力がかかり、すぐに認められるものではありません。

時間と労力がかかるのも特筆すべきポイントです。

会社が協力的かどうか不透明

大半の会社は原則労災の申請をしたくないと考えています。

その背景は以下の通りです。

  • 労災関連の手続きが面倒
  • 労働基準監督署からの調査から行政処分が起きることを恐れている
  • 上司が自身の評価を恐れて隠す
  • 会社の風評被害が怖い
  • 労災事案が多いと労災保険保険料が増額される

つまり、労災を会社が申請したくない理由が多いため、会社が簡単に労災だと認め、労働基準監督署に申請してくれるとは限りません。

場合によっては会社と戦わなければならないので時間と労力がかかり、他の社員や経営から冷たい目にさらされることも覚悟しなければならないのです。

労災認定を認めてもらう前に、長時間残業の環境から抜け出した方が良い

長時間残業を起因としたうつの労災認定に関しては受けられる可能性はあるものの、それを証明するためにはかなりの労力や時間がかかるうえ、実際に労災認定を得られるかどうかに関しては不透明です。

筆者も仕事に起因してうつになりましたが、それでも労災申請をしていません。むしろ、休職して会社の休業手当を受け取る道を選びました。

そっちのほうがうつが回復した後、楽に仕事復帰できました。休業手当がない会社であれば、うつで本格的に働けなくなる前にその会社から抜け出した方がよっぽど効率的です。

会社の制度に合わせ、休職でも転職でも良いのでとにかくうつになるくらい残業をさせられる環境から抜け出すことを考えましょう。

うつになる前にやるべきことは以下の記事でまとめています。こちらも合わせてご一読ください。

まとめ

以上、まとめます。

  • 労災は国が認めた制度で、業務や通勤・退勤を理由で病気やケガが発生した場合に支払われる
  • 長時間残業を起因としたうつの場合、業務とうつの因果関係が明確になった場合認められる可能性がある
  • ただし、裏を返せば業務とうつの明確な因果関係が認められなければ労災認定が下りず、労災認定を受けるためには労力と時間がかかる
  • 労災認定に関しては会社側が協力的にならない理由が多く、会社との対立関係が生まれやすい
  • 最善の方法は職場離脱で、うつになった際に休職手当がもらえるならそれをもらったほうがいいし、休職手当の制度がないならうつになるまえに転職したほうがいい

そもそも、働き方改革が叫ばれているこの時代に残業時間が多くて社員がうつになる会社は良い会社とは言えません。

加えて、労災認定に関しては、会社側がとにかく嫌がるうえ、色々な調査があるため労災が下りるまでに多大な労力と時間を要します。

そんな時間は正直もったいないです。会社が休業手当を支払ってくれるならそのルールに乗った方が楽ですし、転職してさっさとその会社から逃げるのも良いでしょう。

長時間残業の事実は会社が国に隠したい事項です。労災は楽に下りないと考え、それ以外に有効な選択肢を探っていきましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

関西学院大学卒業、1社目では大手証券会社に勤務  ・8か月でメンタルをやられ休職。 ・証券会社時代はお荷物社員として最低評価を受ける。「こんなひどい評価の奴初めて見た」とまで言われた。 以降、人材ベンチャー、大手転職エージェントに勤務し、2度の戦力外通告を受ける。 現職では、中小の転職エージェントでキャリアアドバイザー兼法人営業で2年連続で社内2位の売り上げを達成。前職退職時の年収450万円→2019年の年収は約1000万円 税金の支払いに苦労してます笑 【人物像】 ・ただの酒好き ・論理・理屈で物を考える 【記事の基本方針】 私のような最強のダメ人間でも、思考力、実力、環境を整備すれば それ相応の成果を出せるということを表現できればいいと思っています。 よろしくお願いします。